こんにちは。きょんです。子ども向け英語教室で講師をしていました。
以前、児童英語教室で、幼児クラスの保護者の方からこんな質問をなげかけられたことがあります。
「歌ばかり歌っているけど、子どもの英語力ってついているのかしら?」
「ちゃんと読み書きできるようになる?」
この質問に対しては、こんな風に答えていました。
「はい。今、歌をたくさん聞いて歌っているからこそ読めるようになりますし、読めたら書けるようになりますよ。」
実際に、幼児の頃から英語の歌をたくさん聞いて歌ってきた子どもたちは、ある程度の年齢になると(小2~3)自然と読めるようになっていきます。
「たった週に一度の英語のレッスンを数年受けてきただけでも、ちゃんと英語の音に対するセンスは身について読めるようになっていくんだなあ…」
講師経験が浅い頃はそれがとても不思議であり、感心をしたのを覚えています。
その後、たくさんの子どもたちの様子を見て、経験を積むにつれて
家でたくさんCDを聞いている子ほど、読むことが楽しいプラス、英語の音の類似や違いに敏感である
という事実を実感していきました。
週1度の英語レッスンを受けていたから読めるようになっていのではないのです。
耳が良く感覚が鋭い幼児の頃に、お家で英語のCDを聞いたり歌って耳を養っていたからこそ、英語を読む段階に来たときに、抵抗なくスムーズに読めるようになっていくのです。
実は、英語が母語ではない移民の子どもたちが多く暮らすアメリカの幼稚園+小学校でも、読む練習をする前の段階で、英語の歌(マザーグース)を活用しているそうです。
なぜ英語のわらべ歌(マザーグース)を使うのか
アメリカの幼児教育でも、日本の英語教室でも英語の歌=マザーグースMothergooseが使われるのはなぜなのでしょうか。
マザーグースは、ライミング(終わりの音が韻を踏んでいる単語)がたくさん使われているからです。
有名な曲ではこの辺りでしょうか。
きらきら星 (high ・sky)
Itsy Bitsy Spider(spout・ out)
Pat-a-cake, pat-a-cake, baker’s man,( cake ・bake man・ can)
Hickory Dickory Dock(dock・ clock)
Humpty Dumpty(wall ・fall)
Eeny, meeny, miny, moe(moe ・ toe・go)
確かにマザーグースの曲にはたくさんのライミングが使われていますよね。
最後の音が同じで、同じスペルの単語やーman can(最後がアン)
違うスペルでも、最後の音は一緒という単語もありますね。high/ sky(最後がアイ)
おもしろ~い!
子どもたちも文字に出会ったときに、こんな発見をするのでしょう。
ちなみに、アリタレーションもライミングと同様にアメリカで文字教育に入る最初のステップとして活用されています。
ライミングとアリタレーション(始めの音が一緒)をたくさん聞いて育つと、聴覚が発達し、言語感覚が磨かれていきます。
単語の中で音がどんな働きをもち、音がどうやって単語を構成しているのかが、自然と感覚的にわかっていくのでしょうね。
この教育法をフォネミックアウェアネスといい、マザーグースが活用されています。
フォネミックアウェアネスとは…
フォニックス(文字と発音を組み合わせて指導する方法)に入る前に、とにかく耳をきたえようというものです。
フォネミックアウェアネスでは、話し言葉の音にじっくりと取り組み、読み書きに入る前の子どもたちに、単語はどのような音と音が組み合わされてできているのかを耳から紹介していきます。
この理論に基づく教育法は、読み書きの土台をつくるという大切な役割をもっていることがわかっています。
出典:アメリカの小学校ではこうやって英語を教えている リーパーすみ子著
おわりに
多くの英語教室が幼児向けレッスンにマザーグースを使っていますが、その理由は幼児は歌が好きだから…ということ以外にも、実はちゃんとありました。
もちろん将来の「読み」につながるだけでなく、マザーグースにはたくさんのよさがあります。
英語という言葉ができた国々の文化にも触れることができますし、
たくさんの英語圏のアニメや絵本などにもマザーグースのキャラクターが出てくるため、マザーグースに親しんでいると英語圏の作品をより楽しむことができますよね。
マザーグースやナーサリーライムの曲が入ったCDは日本でも簡単に手に入りますし、Youtubeでも楽しめますよね。
ぜひご家庭で楽しんでみてください!
Thank you.